数日前、駐車場の芝の上で、一束の草がバサッと浮き上がるのが見えました。
不思議なことがあるもんだ、超常現象か?と近づいて見ると
それは草そっくりスーパー保護色のバッタでした。
以来、毎日、駐車場でこのバッタと出会います。
どうやら脚の具合が良くないようで、飛ぶ、というか跳ぶ時にバランスをくずします。
もうあまり遠くまで行けないので、ここを終の住処としているかもしれません。
昨日は写真を撮らせてもらいました。
しゃがみ込んでバッタにカメラを向けていると
下校中の中学生男子3人組が解放感に満ちあふれた様子で通りかかりました。
「あ、あの子達が来ちゃった」2階の窓からこの3人をよく見かけるのです。
いつも大声で冗談を言い合ってゲラゲラ笑ってジェスチャーも大きい、そういう子達。
案の定、ひとりの男子に声をかけられました。
「ストリートスナップですか?」
ずいぶん洒落た事を言うんだな、と驚きながら
「いいえ、虫」と答えると「なるほど」と言って去って行きました。
今日は、バッタとお近づきの印に何かご馳走したいと思いました。
虫って果物が好きなんだっけ?と思いつき、梨を小さく切って目の前に置きました。
しばらくじっとしていましたが、結局、目もくれず手も出さず。
後で調べてみましたが、これはショウリョウバッタに違いありません。
漢字で書くと「精霊飛蝗」素敵な名前です。
イネ科の植物の葉を食べるそうで、梨が好物とは書いてありませんでした。
ショウリョウバッタ君、仲間がいなくて淋しくないかな?と心配していたら
3日前に2匹になっていました。友達が来たんだね、と喜びました。
どっちがどっちかわからない、まるきり同じ顔です。
ウマヅラカワハギを思い出させる「不器用で真面目な性格です」的な顔。
2匹目のバッタも動きはゆるいです。
跳ぶときに、やはりバランスを崩します。
草もたくさん食べてくれていいのですが、それほどムシャムシャは食べず
小欲知足みたいな感じでじっとしています。悟っている風情。
うちはショウリョウバッタというよりロウロウバッタのホームになったのかもしれません。
ますます親近感がわいてきます。
私は思いました。バッタも暑いんじゃないか?
ちょうど草木に水をあげていたところだったので、そっと水をかけてあげました。
2匹とも慌てて逃げて行きました。
私の善意はことごとくご迷惑になるようです。